セダム緑化から多分げつ性のターフキリンソウ緑化へ!
1.ターフキリンソウの品種 | ||
① ターフキリンソウ1号 (直立~開張、小型、多分げつ性) | ||
(開花期) 耐暑性が高く、多分げつ性で密生するため、雑草の抑制力が高い品種です。 キリンソウ類は星形の黄花を密生させますが、虫媒花のため、花粉症の原因にはなりません。 |
(冬期) タケシマキリンソウは10~11月に新芽が伸びるため冬も緑(常緑性)です。 常緑性を維持するためには、秋期の施肥が有効で、それ以外の管理は必要ありません。 |
(春期、茎数60~70本/株) 早春より分げつ数が多くなり、多くの茎が密生します。 なお、一般的なタケシマキリンソウの茎数は、常緑キリンソウの場合で15~25本/株です。 |
② ターフキリンソウ2号 (開張~ほふく、中型、多分げつ性) | ||
(開花期) 茎が横に伸び、地面に付いた茎から発根して大きく広がる系統です。 生育が旺盛で、耐暑性が高いため、失敗しない緑化のために有用な品種です。 |
(冬期の状況) タケシマキリンソウは寒冷地の自生種で、氷点下30℃でも生育が可能です。 |
(春期、茎数75~85本/株) 最も大きな株になる系統であり、早期に緻密なターフ状態を実現できます。 最低限の施肥以外の管理は必要とせず、高い植被率を長期間維持することができます。 |
③ ターフキリンソウ3号(開張、小型、多分げつ性) |
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(秋期) 葉が最も小さな系統であるが、耐暑性が高いため、一定の緑被率を維持します。 花茎が短いため花がらが目立たず、草丈を押さえたい緑化には有用な品種です。 |
(冬期) 葉が小さいため、初期の冬期の緑被率は低くなるが、分げつ数が多いため、養生後は緻密なターフ状態を維持します。 |
(春期、茎数45~55本/株) 草丈が低く、多分げつ性のため、緻密なターフ状態を形成します。 |
④ ターフキリンソウ4号 (開張~ほふく、小型、細葉、多分げつ性) | ||
(夏期) 葉が小さく、細葉(長葉)が特徴の系統ですが、耐暑性が高く、分げつ数が多いため、草丈を押さえたい緑化には有用な品種です。 タケシマキリンソウは猛暑の干ばつには衰弱しますが、暖地で育種・選抜されると、耐暑性の系統が見いだせる可能性があります。 |
(冬期) ほふく、または分枝しながら拡がるタイプです。 タケシマキリンソウは変異が多く、他家受粉を利用した育種・選抜により、新たな品種(系統)を見出す可能性を持っています。 |
(春期、茎数70~80本/株) 草丈が低く、多分げつ性のため、緻密なターフ状態を形成します。 春期はタケシマキリンソウの最盛期で、3月~梅雨までの期間が増殖の最適期です。 |
2.その他のタケシマキリンソウの品種 | ||
(オウミシマ1号、開張~ほふく、大型) 大型で横に伸び、地面に付いた茎から発根して大きく広がる系統です。 草丈の低い系統と組み合わせることにより、多様で高植被率の緑化が期待できます。 |
(オウミシマ2号、ほふく、小型) 横に茎を伸ばしながら、根を下して拡がりますが、ほふく性(矮性)の系統は、生育が遅く、耐乾性もやや劣る傾向にあります。 ただ、タケシマキリンソウは孤島で独自に分化したため、性状の変化が生じやすく(適応分散)、生育が遅く、耐乾性に劣る系統でも、自然交雑の母種として栽培しています。 |
(オウミシマ3号・開張~ほふく、途中分枝) 他の系統と比較して艶のある葉と茎の途中で2~6本に分枝する等の特長があります。 また、茎の基部が木質化し、肥大化する系統です。 |
(オウミシマ10号・直立、大型) タケシマキリンソウの標準の草姿は開張(直立するが、後に茎の重さで横に寝る)ですが、直立性の高い系統もあります。 タケシマキリンソウの中では最も草丈が高く、40㎝程度まで生長します。 |
(オウミシマ12号・開張、中型、黄葉種) 冬期のみ葉が黄化する後暗み性(春期に緑葉に戻る)であり、耐暑性に劣るため、緑化には使用できません。 |
(オウミシマ13号・中型、斑入り種) 冬期に葉の縁が黄色や赤色になる系統で、12号と同様に耐暑性に劣るため、緑化には使用できません。 |
3.その他のキリンソウ類の品種と系統 | ||
(キリンソウ・落葉性、直立) キリンソウは他のキリンソウ類よりも耐暑性に優れていますが、全ての系統が落葉性であり、冬期の緑量不足や越年雑草が生えやすい等の欠点があります。 |
(オウミエゾ3号・半常緑性、ほふく) 半常緑性でエゾノキリンソウの中で最も生育が旺盛であったため品種登録を取得しましたが、耐暑性がタケシマキリンソウと比較して劣ったため登録を放棄しました。 |
(オウミホソバ1号・落葉性、直立) ホソバノキリンソウは中部地方以北の冷涼な湿潤地に自生する種ですが、耐乾性や耐暑性が高い系統の品種登録を準備中です。 耐乾性のホソバノキリンソウは草丈がキリンソウ類の中で最も高くなるため、多様な種による緑化の際には有用な系統です。 |